1日自動車保険とは? いつから契約できる? 補償の範囲は?
1日自動車保険とは?
1日自動車保険とは、文字どおり1日単位(正確には24時間単位、商品によっては12時間単位)で加入できる自動車保険です。
この保険が初めて登場したのは2012年と比較的最近なのですが、現在では大手損保会社各社等で扱っており、特に若い世代を中心に利用される方が増加しているようです。
普及の背景
昨今、自動車免許を取得してもマイカーを持たない方が増えていますが、家族や友人等からちょっと借りて運転する機会もあるでしょう。一般的な自動車保険は車に保険を掛け、運転者を限定するほど保険料が安くなります。そのため契約内容によっては他人の車で事故を起こしたら補償されないというケースもあり得ます。仮に補償対象であっても事故の内容によっては保険を使用すると等級が下がるため、翌年以降の保険料が上がってしまい、持ち主に迷惑がかかることもあります。この点、1日自動車保険は運転者に掛ける保険なので必要な時だけ必要な人が加入すればよく、保険料は、1日あたり定額500円程度からと手頃です。等級制度も無いので、万一、事故を起こしても次の加入時の保険料には影響しません。そして、スマホ※やコンビニ等で加入できるものもあります。こうした手軽さも手伝い、今までありそうでなかった商品性が重宝されて短期間で普及してきたと考えられます。
※一般的に大手携帯電話会社に限定しており、格安SIMを利用している場合には使えないこともあります。
加入条件
1日自動車保険はとても便利なのですが、そもそも加入できないケースもあります。例えば、自分自身や配偶者の名義となっている車を運転する場合は加入できません。親や兄弟、友人・知人等といった個人名義の車を運転する場合を想定しており、原則として法人名義の車を運転する場合も対象外となります。レンタカーやカーシェアリングも同様です(レンタカーやカーシェアリングでは別途、自動車保険が用意されています)。対象車両についても自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車に限られており、大型の車や原付・バイクといった二輪車等は対象となりません。また、保険会社により詳細は異なりますが、一般的には高級車も対象外となっています。
補償内容
1日自動車保険の補償内容は従来の自動車保険とほぼ同じです。対人・対物賠償補償の保険金額は無制限となっており、搭乗者傷害補償や自損傷害補償などが概ねセットされています。ただし、対物超過修理費用補償や人身傷害補償等のほか、各種付帯サービスや2回目以降の割引適用の有無、1つの保険で運転者を何名まで追加できるのか等は各社で異なります。なお、車両補償については各社とも1,000円程度からの、保険料を上乗せして付帯するか否かを選べるのですが、保険始期から7日以上前の契約であることが条件なので、運転する当日に契約しようとしても車両補償は付帯できない点に注意が必要です。
一日自動車保険はどのような場合に適している?
1日自動車保険は、実家に帰った時に親の車を運転したり、友人等の車を借りたり、友人等の車を交代で運転してドライブに出かけたりするような場合にその利便性を発揮できると考えられます。利用したい補償日数にあわせて無駄なく加入できるので、費用対効果にも優れているといえるでしょう。
反面、あくまでも「たまに、短期で」運転するケースを想定しているため最長でも7日間までしか契約できず、それ以上の日数が必要な場合は再度契約し直す手間がかかります。また、いくら1回当たりの保険料が手頃とはいえ、年間で何度も何度も利用すれば割高になります。
これからの時代、介護などで親の車を頻繁に運転する機会も考えられます。頻度が多くなったり長期利用となったりする可能性がある場合は、別途、年単位で加入する『ドライバー保険』や、持ち主の自動車保険の『運転者条件』を広げる方が割安になる可能性もあります。また、自身で自動車保険に加入している方であれば、『他車運転特約』を付帯し、借りた車の運転中の事故を自身の保険で補償する方法もあります。利用ケースに応じて他の方法と比較するのが良いでしょう。
CFP®
1967年生まれ。大学卒業後に入社の大手化粧品会社時代に相談業務を手がけたことを契機にFPとなる。以後、独立系FP会社、保険代理店FP部門を通じ、年間約100件の相談、約200時間のセミナー講師業のほか、執筆・監修等にも多数従事、成年後見人として福祉活動もおこなっている。最終的にお客様が選ぶ道は1つでも、「FPの付加価値として別の角度からどれだけサプライズな発想や選択肢を提案でき得るか」を信条としている。
本コラムはファイナンシャルプランナーが最近の自動車保険の動向について注意すべき点をまとめたものであり、詳細は各損害保険会社のホームページやパンフレット等をご確認ください。