家計・暮らし
老々介護で共倒れにならないために 今からできる備えとは?
高齢者が高齢者を介護する「老々介護」が増えています。老々介護は、共倒れリスクのある危険な状態です。また、お互いに年金生活だと、金銭的な負担も重くのしかかります。働いているうちから老々介護のリスクを正しく認識し、必要な備えをしておきましょう。
老々介護の現状
現在、どのくらいの割合で老々介護が発生しているのでしょうか?また、介護者は1日のうちどのくらいの時間を介護にあてているのでしょうか? まずは、老々介護の現状を統計データで見てみましょう。
老々介護はどれくらいの割合か
高齢の夫婦や高齢の親子の世帯で、高齢者が高齢者を介護する状況を老々介護といいます。
厚生労働省の調査によると、介護を受ける要介護者と同居する主な介護者がともに「60歳以上同士」「65歳以上同士」「75歳以上同士」という老々介護の世帯は、年々増えています。
2019年は、60歳以上の要介護者がいる世帯の7割以上が老々介護の状況であることが分かります。
年齢階級別に見ると、要介護者と同居する主な介護者の年齢の組み合わせで割合が高いのは、以下の3つでした。
- 1.要介護者が65~69歳 同居する主な介護者が60~69歳 59.3%
- 2.要介護者が90歳以上 同居する主な介護者が60~69歳 58.2%
- 3.要介護者が70~79歳 同居する主な介護者が70~79歳 56.0%
1と3は配偶者を介護している状況、2は子が親を介護している状況と考えられます。
介護者の状況
同調査によると、主な介護者の54.4%が同居しており、割合が高い順に配偶者23.8%、子20.7%、子の配偶者9.7%となっています。同居以外では、別居の家族等は13.6%にとどまり、12.1%は事業者でした。
また、同居する主な介護者の性別は男性35.0%、女性65.0%でした。
介護における負担
要介護度が上がるほど、同居する主な介護者の介護時間は増加します。
要介護度1では、「ほとんど終日」は11.3%で、「必要なときに手をかす程度」は61.2%ですが、要介護度5になると、「ほとんど終日」が56.7%、「必要なときに手をかす程度」は3.0%と割合が逆転しています。
ほとんど終日介護に追われる状況が続くと、介護者の負担はかなり大きくなります。要介護者が認知症になると、暴言・暴力・徘徊などに悩まされることもあります。
また、要介護度が上がるほど、介護費用も上がる傾向があります。身体的・精神的な負担に加え、金銭的な負担が増すことも覚えておかなければなりません。
今後は認認介護の可能性も
今後は認知症の要介護者を認知症の介護者が介護するという、認認介護の世帯が増える可能性があります。認認介護は、事故が起きやすい危険な状況といえます。
内閣府の推計(認知症有病率が上昇する場合)によると、認知症の有病率は、2025年に20%、2060年に33.3%になる見込みです。そうなると、夫婦ともに認知症の世帯の割合は、次のように試算できます。
2025年:20%×20%=4%......25世帯に1組が認認介護
2060年:33.3%×33.3%=約11%......9世帯に1組が認認介護
(内閣府「平成29年版高齢社会白書」より 長期の縦断的認知症の有病率の調査を行っている福岡県久山町の研究データに基づく。2012年の年齢別有病率をもとに、糖尿病有病率が20%増加することで認知症有病率も上昇するとして試算)
認知症は誰もがなり得る病気であり、進行を遅らせることはできても、完治は難しいといわれています。今後高齢化が進むにつれて、認認介護の世帯が増えていくことが予想されます。
老々介護の原因
老々介護が増えている理由は何でしょうか?続いて、老々介護の原因を4つの視点で分析します。
健康寿命と平均寿命の差
日本は平均寿命が長い国として知られていますが、平均寿命と健康に生活できる健康寿命に差があることが問題視されています。
現在公表されている健康寿命の最新データは2016年のものなので、2016年の健康寿命と平均寿命を比較してみましょう。
2016年
男性 健康寿命72.14歳 平均寿命80.98歳 差8.84歳
女性 健康寿命74.79歳 平均寿命87.14歳 差12.35歳
データによると、8~12年は健康が損なわれた不自由な状態で日常生活を送らなければなりません。この間に介護度が上がっていくと考えられます。
2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳で、2016年より延びています。2016年以降は健康寿命に関する調査がありませんが、平均寿命との差が縮まったとは考えにくいです。平均寿命と健康寿命のギャップは、老々介護の原因の一つといえそうです。
社会環境の変化
かつては三世帯で暮らすケースが多く、子どもや孫が協力しながら親を介護していました。しかし、最近は地元を離れて大学に進学したり、就職したりすることが一般的になっています。その結果核家族化が進み、老々介護が増えたと考えられます。
内閣府の調査によると、65歳以上の高齢者がいる世帯の割合は、1980年から2017年までで大きく変化しました。
かつては65歳以上の高齢者がいる世帯の約半数が三世帯でしたが、近年はわずか11%で、多くが夫婦のみの世帯です。
社会環境が変わり、ライフスタイルが変化したことが、老々介護増加の一因と考えられます。
介護への抵抗感
介護保険制度が始まり、介護サービスは少しずつ充実してきていますが、「自分のことは自分でしたい」といった気持ちから、介護に抵抗感を持つ人も少なからずいます。
日本政策金融公庫総合研究所の調査で、介護者のうち訪問・通所介護を利用したいと思わないと回答した人に理由を尋ねたところ、施設を利用しており利用する必要がない人を除き、最も多い回答は「他人から介護を受けることに利用者本人が難色を示すから」でした。
(※日本政策金融公庫総合研究所「介護者からみた介護サービスの利用状況(2016年)」より)
介護では、排泄などデリケートな部分でも他人の手を借りなければなりません。そのため、どうしても介護サービスの利用に抵抗感を抱いてしまうケースもあり、夫婦でお互いに介護し合う状況が生まれているのです。
経済的な理由
ライフスタイルの変化から、事業者の介護サービスを利用しようとしても、経済的な理由で難しいケースもあります。退職金はバブル期以降減少傾向で、高齢化によって年金受給額も年々減少しています。
このような理由で、介護サービスを利用したくても利用できない世帯が、やむを得ず老々介護をしている可能性があります。
いざ介護が始まった時、介護サービスの利用も含めて幅広い選択肢を検討できるよう、介護保険などで事前に備えておくことが大切です。
老々介護のリスク・課題
さまざまな社会的な要因によって、老々介護が増えています。どの要因も、すぐに解決できるものではなく、今後も老々介護は増加していくでしょう。ここからは、老々介護のリスクと課題を6つ紹介します。
1.介護者の体調不良による共倒れ
老々介護の最大のリスクは、要介護者と介護者が共倒れになることです。
介護には体力が必要ですが、介護者も高齢だと身体的負担は大きくなります。介護者が転倒したり、介護中にケガをしたりして入院してしまうと、要介護者を介護する人がいなくなるリスクもあります。
このような状況で介護を続けると、介護者には精神的負担もかかります。中には、生活に希望が持てなくなり、介護うつを発症する介護者もいます。
2.閉じこもり・孤立
要介護度が上がり、ほとんど終日介護が必要な状況になると、介護者は友人と出かけることもできず、外部とのつながりが遮断され、孤立していきます。
介護度が上がる前でも、「配偶者をほうっておけない」「自分だけ楽しむのは罪悪感がある」「外出中も配偶者の様子が気になる」といった理由で、自ら社会とのつながりを絶ってしまう介護者もいます。
家に閉じこもるようになると、運動不足から健康状態が悪化しがちです。また、近所付き合いがなく孤立すると、事故が起きた時のリスクも高まります。
3.お金や食事、薬など生活の管理不能
介護者が認知症になると、徐々にお金や食事、薬の管理ができなくなっていきます。お金・食事・薬は、健康や生活に直結する重要な要素です。管理不能が事故や生活破たんにつながるケースも少なくありません。
認知症以外でも、介護疲れによるストレスから買い物依存に陥ったり、判断力が鈍って詐欺の被害に遭ったりするおそれがあります。
4.戸締りや火の用心など安全管理の不安
高齢になると注意力が散漫になり、戸締りや火の用心などの安全管理ができなくなることがあります。特に介護で心身ともに疲れ切った状態だと、今まで当たり前のようにできていたことができなくなることも少なくありません。
要介護者は、火災が起きても健常者のように速やかに避難することができません。安全管理ができなくなることは、命の危険にもつながるのです。
5.認認介護への移行
要介護者だけでなく介護者も認知症になって認認介護へと移行すると、日常生活のあらゆる場面が危険をはらんだものになります。薬を飲んだことや飲ませたことを忘れて、薬の飲み過ぎで意識障害に陥ったり、緊急事態になった時に連絡先を思い出せなかったりと、病気や事故のリスクが高まります。
また、時間や季節の変化を認識できなくなると、気温に合わせて服装を決めたり、温度を調節したりすることもできなくなります。そうなると、家の中で熱中症を発症してしまうこともあるでしょう。
6.介護疲れや認認介護による事件
常に介護に追われている状況が続くと、心身が疲弊していきます。また、介護者が認知症になると自分のことで手一杯になるため、介護の負担がより大きくなります。
このような状態が、虐待や事件につながることがあります。「相手のため」と思って介護していても、極度の疲労感やストレスが重なると、正常な判断力が奪われます。このような悲劇を防ぐためにも、しっかり対策しておくことが大切です。
老々介護の共倒れにならないためにできること
ここからは、老々介護の共倒れを防ぐためにできることを6つ紹介します。
1.老々介護になる前から健康面のリスクを抑える
健康寿命を延ばすためには、まず健康面のリスクを抑えることを心がけましょう。栄養バランスの良い健康的な食事を摂り、散歩など適度な運動を継続することが大切です。夫婦や親子で楽しみながら、健康維持に取り組むとよいでしょう。
2.介護保険で経済的なリスクを減らす
介護にまつわる経済的なリスクについては、あらかじめ介護保険や貯蓄で備えておくことが可能です。介護が始まってからあわてることがないよう、将来介護に必要なお金を元気なうちに準備しておきましょう。
3.家族(子どもなど)による小まめなチェック
遠方の両親が老々介護の状況にある子ども世帯も多いでしょう。コロナ禍で頻繁に帰省することは難しいかもしれませんが、できるだけ小まめに連絡を取り、何かあった時に相談しやすい関係を構築しておくことが大切です。
4.早めに地域包括支援センターなどに相談する
介護者が孤立すると、状況はさらに悪化します。「まだ頑張れる」と無理をするのではなく、早めに地域包括支援センターなどに相談しましょう。今は無料の相談窓口もたくさんあります。事前にコミュニケーションを取っておくと、いざという時でもスムーズに援助を求めることができます。
5.介護サービスや訪問介護の利用を検討する
朝から晩までお互いに顔を突き合わせていると、健康であっても喧嘩してしまうことがあるでしょう。ましてや介護が必要な状態になると、喧嘩が増えるのは当たり前のことです。介護サービスや訪問介護をうまく活用すれば、要介護者も介護者も息抜きの時間を持つことができます。
6.介護施設への入居を検討する
場合によっては、介護施設への入居も検討しましょう。要介護者は「施設は嫌だ」と反発せず、パンフレットを見たり、見学に行ったりしてみてください。介護者は1人で抱え込まず、さまざまな選択肢があることを知り、事業者をうまく活用することが大切です。
ドコモのAIほけんなら毎月最低100円から介護への備えが可能!
介護のリスクに備えるには、健康維持も大切ですが、金銭的な準備も重要です。介護が必要になった時でもお金に余裕があれば、介護サービスの利用や施設への入居を検討することができるため、課題解決の選択肢が広がります。
ドコモのAIほけんでは、スマホで簡単な質問に答えるだけで、回答内容とパーソナルデータに基づき、10種類の保険からAIが最適な商品をレコメンドしてくれます。わざわざ保険窓口に足を運ぶ必要がないため、忙しい人でもスキマ時間に気軽に利用できます。また、ライフスタイルの変化に合わせた補償も提案してくれます。
AIほけんには、「介護保険」があります。
介護保険では、所定の介護状態になった時、一時金100万円を受け取れます。受け取った保険金は、介護のための自宅の改修費や、介護用品を購入するための費用にあてられます。
年齢・性別によって保険料は変わりますが、ドコモのAIほけんなら、最低月額保険料は100円です。介護が気になりつつ「家計に余裕がない」と感じる方も多いと思いますが、月々数百円であれば、将来の安心を買うために保険で備えておくのも1つではないでしょうか。
加入できるのは、40歳以上70歳以下の方です。
現在dカードGOLDでは、40代のユーザーを対象に、無料で介護保険に加入できるキャンペーンを実施中です。dカードGOLDを持てば、国内やハワイの主要空港ラウンジも無料で利用でき、効率的にポイントを貯められます。この機会に、dカードGOLDの発行も検討してはいかがでしょうか。
介護保険に加入していざという時の介護に備えよう
老々介護で、時間的にも金銭的にも余裕のない生活に陥ってしまうと、共倒れリスクが高まります。働いているうちに将来の介護リスクについて考えておくことが大切です。
ドコモが提供するAIほけんの「介護保険」などで必要な備えをしておくことで、介護が始まった時も、自分たちに合った介護サービスを利用できるでしょう。
※ 本記事は2021年7月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。