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保険の基礎知識

保険の基礎知識とこれからの保険の傾向 新しいタイプの保険が続々

保険の説明を受ける男女の写真

日本人にとって「保険」は身近な金融商品のひとつです。生命保険文化センターの調査によれば、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は88.7%となっています。

出典:平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」

とても身近な保険ですが、種類が多くどれを選べばいいのか迷ってしまう、勧められるがままに加入しているという人も多いはず。しかし保険の基礎知識を得ることで、自分自身にとって必要な保険を選ぶことができるようになります。

保険の基本的な仕組みや近年のトレンドについて紹介しましょう。

【保険の基礎知識】保険とは

(画像= Worawut/ stock.adobe.com)

まずは保険の概要を確認し、保険について基本的なイメージを掴みましょう。ここでは大まかに以下について解説します。

  • 保険の相互扶助の仕組み
  • 保険の種類

相互扶助の精神から生まれた仕組み

保険は助け合いの精神から生まれた金融商品で、加入者全員が少しずつお金を出し合い、万が一に備える仕組みです。

仮に治療に1億円かかる病気が、毎年1万人に1人の確率で発生するとします。一人ひとりが治療費のために1億円を貯めてもいいですが、年間100万円貯めても100年かかってしまいます。

一方、1万人で年間1万円ずつお金を出し合い、1万人の中から病気になった人が出たら貯めたお金で救う仕組みがあったらどうでしょう。毎年1億円の資金を集めることができるため、病気になった人を毎年助けることができます。これが保険の仕組みです。

保険と貯蓄の違い

もちろん貯蓄でも対処できますが、保険の仕組みを使うことで貯蓄にない以下2つのメリットを受けられることが分かります。

  • お金が貯まるまで待つ必要がなくなる
  • 参加者全員を助けられる

メリットのひとつは「お金が貯まるまで待つ必要がなくなる」という点です。貯蓄で1億円を貯めるには時間がかかり、その間は病気に対して無防備という問題がありました。一方、保険なら加入した瞬間から備えることが可能です。貯蓄にはない保険ならではの大きなメリットです。

もうひとつのメリットは「保険の加入者全員を助けられる」という点です。病気にならない人は毎年掛け捨てですが、万が一が起きたときに助かることができます。

Point

保険に加入することで、発生する確率は低いが万が一発生した場合に自分一人では対応するのが難しいリスクに備えることができます。

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保険の種類

次は保険の種類について確認しましょう。

保険は大きく第1~3分野の3つの種類に分けられます。以下にまとめました。

提供する保険会社 主な保険商品
第1分野 生命保険会社 死亡保険
養老保険
第2分野 損害保険会社 火災保険
自動車保険
第3分野 生命保険会社
損害保険会社
傷害保険
医療保険

第1分野は主に生命保険を指し、「人の生存や死亡に関してあらかじめ定められた金額を支払う保険」が該当します。

第2分野は主に「損害保険」を指し、「一定の偶然な事故によって生じた損害額に応じて保険金を支払う保険」が該当します。

第3分野は、生命保険・損害保険のいずれにも該当しない保険のことです。したがって生命保険会社、損害保険会社の両方が販売しています。

著者コメント

第3分野と聞くと難しく感じるかもしれませんが、医療保険やがん保険、介護保険などが該当します。

生命保険と損害保険にはお金の支払われ方にも違いがある

両者の保険金には以下の違いがあります。

保険金の支払い方 概要
生命保険 定額払い あらかじめ定められた保険金が支払われる
損害保険 実損払い あらかじめ定められた保険金を上限に、実際に生じた損害まで保険金が支払われる

生命保険は「定額払い」で保険金が支払われます。例えば、保険金を1,000万円として契約した場合、支払事由が起これば1,000万円支払われます。

一方、損害保険は「実損払い」です。例えば、保険金を1,000万円として契約した場合でも、生じた損害が500万円なら500万円までしか支払われません。

保険市場のトレンド 海外動向を知ろう

(画像= Oulaphone/ stock.adobe.com)

海外の保険業界のトレンドを見ることで。今後日本に到来する動きを掴むことができます。海外トレンドを見てみましょう。

ITを活用した保険サービスの開発が進む

金融とテクノロジーの融合を指す「Fintech(フィンテック)」は日本でも浸透してきましたが、「保険(Insurance)」とテクノロジーの融合を指す「Insurtech(インシュアテック)」も盛んです。

代表的なものが「テレマティクス保険」です。自動車保険のひとつで、専用の機器で運転者個人の運転の特徴を取得し保険料を算定する機能を持ちます。米国では他国に先駆け2000年代半ばから販売されてきました。

テレマティクス保険では安全な運転を行うほど保険料が下がるため、もともと安全運転の方は従来の自動車保険より保険料が下がるでしょう。運転者に安全運転を促す効果も期待されています。

中国の保険市場が急成長

近年中国の保険市場が急成長しています。ニッセイ基礎研究所によると、中国における生命保険の収入保険料は3兆995億元(2019年)でした。これは世界の生命保険料シェアの11.3%を占め、米国(21.6%)、日本(11.7%)に次いで第3位です。一方、2019年の生命保険料収入の伸び率は9.8%となり、2位のフランス(3.6%)に大きな差を付け首位となりました。

出典:ニッセイ基礎研究所 中国の生命保険市場(2019年版)基礎データ

中国は世界トップクラスの保険市場を形成していながら、GDPに占める生命保険料の割合は2.3%(世界平均3.4%)、国民1人あたり生命保険料収入は230ドル(世界平均379ドル)しかありません。成長余地はまだまだありそうです。

インターネット上の少人数グループでお金を出し合うP2P保険

P2P保険はインターネット上の少人数グループがお金を出し合って資金プールを作り、万が一のときは資金プールからお金を引き出して助け合う保険です。資金プールが足りないときはP2P保険の提供会社が負担します。

P2P保険は小規模な保険を作れるためニッチなニーズにも応えやすいメリットがあります。また使われなかった保険金の財源は、グループのメンバーに返還されるか次年度の保険料割引に使われます。保険金の請求発生事象を減らすインセンティブがメンバーに働きやすく、保険料の低減が期待できます。

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日本国内の保険のトレンド

続いて日本の保険トレンドについても確認してみましょう。

新しいタイプの保険が登場

日本の保険業界もIT技術の浸透が進んでいます。

前述紹介したP2P保険のほか、スマホの健康データを用いて保険料を算出し、保険料のパーソナライズ化を図る保険も登場しています。そのほか既往症や持病のある方でも加入できる「引受基準緩和型保険」などが登場しています。

Point

国内でも、細かいニーズに対応したタイプの保険が登場しています。

医療、がん保険が中心に

個人向け商品の新規契約で多くの比率を占めるのが医療保険やがん保険です。2019年の新規契約の内訳は以下のようになりました。

【個人保険の種類別新契約件数 TOP5(転換契約は含まず)】

全体の新規契約数:1,371万件

  • 1. 医療保険:350万件(25.5%)
  • 2. 定期保険:220万件(16.0%)
  • 3. 終身保険:193万件(14.1%)
  • 4. がん保険:183万件(13.3%)
  • 5. 養老保険:41万件(4.5%)

出典:生命保険協会 2020年版生命保険の動向

新規契約のうち医療保険が最も多くの割合を占め、がん保険と合計で約4割を占めます。両保険が保険販売の中心になっているようです。

生きるための保険が増えている

医療保険やがん保険は、いわば「生きるための保険」といえます。定期保険や終身保険は死亡が保険金の支払事由ですが、医療保険やがん保険は主に治療に対して保険金が支払われるためです。

医療保険も進化しています。従来は数日以内の入院は保険金支払いの対象外とするケースがありましたが、近年では入院初日から支払われるものが多くなりました。中には「診断一時金」として入院数日分に相当する保険金を初日に支払う医療保険もあります。これは入院日数の短期化による影響が要因として考えられます。

さらには長期間働けないリスクを備える「所得補償保険」も登場しています。保険に対するニーズの多様化がうかがえますね。

民間の介護保険

私たちの平均寿命が伸びていることから介護保険へのニーズも高まっています。

生命保険文化センターによると、介護期間の平均は54.5カ月(約4年7カ月)です。介護費用の平均は月7.8万円のため約425万円、別に一時的な費用が平均69万円かかっているため、約500万円の費用が介護で発生していることが分かります。

出典:生命保険文化センター 介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?

著者コメント

介護は一般的に大きな費用がかかるため、公的介護保険だけではカバーできないことが想定されます。民間介護保険は今後も一定のニーズを集めるでしょう。

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細かなニーズに対応した保険の登場が予想される

保険は相互扶助の精神からできた金融商品で、貯蓄ができるまで待つ時間や加入者全員を救えるメリットがあります。

保険のトレンドとしては、世界的にIT技術を保険に活用した「インシュアテック」が浸透しており、日本でも広まってきています。今後は日本でもさまざまなニーズに応える保険が登場するでしょう。

※ 本記事は2021年8月24日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。

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