保険の基礎知識
弁護士費用特約って必要?メリットや注意点についても解説
自動車保険の特約のひとつに「弁護士費用特約」があります。
どうして自動車保険に弁護士が関係してくるのか、本記事でポイントをまとめます。
また、本記事では、自動車事故以外の損害賠償等に関しても補償を受けられる「弁護士保険」についてもご紹介します。
弁護士費用特約とは?
弁護士費用特約の概要と必要性を確認しましょう。
自動車保険の弁護士費用特約とは?
自動車保険の弁護士費用特約とは、自動車に関する被害事故が生じた際、事故の相手方に損害賠償請求をするために弁護士に委任したり相談したりする場合の費用を補償する特約です。
なぜ、弁護士費用特約が必要なのか
自動車保険で弁護士費用特約が必要となる理由は、保険会社が事故の相手方と示談交渉できないケースがあるためです。
一般的に、自動車事故を起こし相手方に損害を与えてしまった場合、加入している保険会社が相手方と示談交渉をします。保険加入者側に過失がある場合、保険会社が相手方へ賠償を行う可能性があるため、保険会社も当事者となります。
しかし、自分に過失が無い「もらい事故」の場合、事故相手への損害賠償請求は発生しないため、保険会社は事故とは無関係の立場となります。この場合、保険会社が示談交渉という法律事務を行うと、弁護士法で禁止されている「非弁行為」に該当することになるため、示談交渉ができません。
保険会社が交渉できない場合、自分で相手方と交渉するか、または弁護士へ依頼することになります。そうなった場合に弁護士費用特約があれば、弁護士への依頼費用や相談費用が補償されることになります。
弁護士が必要となる3つのケース
弁護士が必要となる具体的なケース3つ紹介します。
ケース1.自分に過失のない「もらい事故」に遭ったとき
こちらに過失がない事故を「もらい事故」といいます。もらい事故の典型例として、以下のようなケースがあります。
<もらい事故の典型例>
・信号待ちで停車中に追突される
・青信号で交差点を進行中、相手方の信号無視で衝突してきた
・見通しの良い道路を直進中、対向車がセンターラインを越えて衝突してきた
過失割合は双方の合意で決定されるため一概にはいえませんが、上記のケースでは、こちらに過失がない可能性が高く、保険会社が相手方と示談交渉をすることはできません。
ケース2.事故相手が無保険だったとき
弁護士が必要になるケースはもらい事故だけではありません。相手が任意保険に加入していない場合でも弁護士が必要になるケースがあります。
損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況(2019年版)」によると、約2割程度の車は任意保険に加入していません。
<任意保険の普及率>
- 自家用普通乗用車 82.6%
- 自家用小型乗用車 79.0%
- 軽四輪乗用車 77.4%
事故の相手方が任意保険に加入していれば、相手方の保険会社とスムーズに交渉が進む可能性が高いですが、相手が任意保険に加入していない場合、事故の相手方と直接交渉する必要が生じます。2慰謝料や損害賠償の回収額アップが期待で
お互いに自動車事故や法律の知識がないため、交渉が難航する可能性が高くなります。相手が相場より低い賠償金を提示してくる可能性や交渉に応じない可能性もあります。
弁護士に依頼すれば、法律に則って、しかるべき処置を行ってくれます。相手が任意保険に加入していないケースでも、スムーズに解決してくれるでしょう。
ケース3.双方の折り合いがつかなくて訴訟になったとき
相手方との交渉で示談できない場合、訴訟に発展する可能性もあります。
訴訟に発展した場合、自分1人で裁判に臨むのはおすすめできません。弁護士への依頼が望ましいでしょう。
弁護士費用特約の3つのメリット
弁護士費用特約のメリットを主に補償内容の観点から確認しましょう。
1.相談料も補償対象のケースが一般的
弁護士費用特約は、訴訟など、実際に弁護士に業務を依頼する際の費用のほか、相談する段階で発生した費用も補償されるケースが一般的です。
【弁護士費用特約の主な補償対象】
弁護士費用 |
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弁護士への相談料 |
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自動車事故が起こった場合、弁護士に依頼すべきか判断できないケースもあるでしょう。依頼前に法律相談を受けられれば安心ですが、相談にもお金が掛かるケースがあります。
このような相談費用も補償される弁護士費用特約に加入していれば、相談費用に対しても保険金が支払われます。トラブル対応時に弁護士へ気軽に相談しやすくなる点が弁護士費用特約のメリットです。
2.慰謝料や損害賠償の回収額アップが期待できる
弁護士は法律や交渉の専門家です。最終的には訴訟まで請け負えることから、保険会社を通じて交渉するよりも、交渉相手へのプレッシャーは高くなります。結果的に、慰謝料や損害賠償額の上昇につながる可能性が高いといえるでしょう。
3.特約を使っても等級には影響なし
個人が契約する自動車保険は、「ノンフリート等級」と呼ばれる、1~20(マイカー共済の場合は22等級)に分かれた等級に応じて保険料が決定されます。等級が大きくなるほど、保険料が安くなる傾向にあります。
初回契約では6等級ですが、保険期間中に無事故で更新すれば1ずつ上がり、割引率が大きくなります。一方、事故等で保険を利用すると等級が下がります。
弁護士費用特約だけ使う場合、等級に影響はありません。等級を気にせず活用できる点も、弁護士費用特約のメリットです。
自動車保険の弁護士費用特約の注意点
自動車保険の弁護士費用特約を活用する際の注意点を確認しましょう。
補償される弁護士費用に上限がある
弁護士費用特約を使う場合、特に保険契約で禁止されていない限り、弁護士は自由に選べますが、自分で弁護士を選ぶ場合、弁護士費用特約の上限と弁護士への報酬額について確認しましょう。上限以上の弁護士費用が発生した場合、差額は自己負担となります。
選任する弁護士は保険会社の事前承認が必要
弁護士費用特約では、原則自由に弁護士を選任できますが、事前に保険会社で承認を受けておきましょう。保険会社によっては、事前の承認を保険金支払いの条件としている場合があるためです。
仮に承認を条件としていない場合でも、事前に確認しておいたほうが後々のトラブルを回避できます。念のため、弁護士へ相談する前に保険会社へ連絡しましょう。
家族内で弁護士費用特約の重複が無いか確認
ひとつの弁護士費用特約で家族全員が補償されるケースがあります。この場合、家族内で複数の弁護士費用特約を付ける必要はありません。
弁護士費用特約に加入する前に、家族の誰かがすでに加入していないか注意しましょう。
事故後に契約しても補償されない
弁護士費用特約を使うには、事故が起こった時点で加入していないと使えません。事故が起こった後で契約しても、その事故に関する弁護士費用に関しては保険金が支払われないので注意しましょう。
保険金が支払われないケースがある
上記以外に、以下のような場合でも保険金が支払われません。
【弁護士費用特約 保険金が支払われない主なケース】
- 保険加入者に重大な過失がある
- 無免許や飲酒など、正常な判断ができない状態の運転で起こした事故
- 同居する家族に対する損害賠償
※ 上記は一般例です。具体的には保険商品ごとにご確認ください。
自動車の事故以外は対象外の場合がある
自動車保険に付帯する弁護士費用特約は、一般的に自動車事故に関する弁護士費用のみを補償します。日常生活においての補償は対象外という場合もありますので、ご自身の契約を確認してみましょう。
より幅広い弁護士費用の補償を受けるなら「弁護士保険」の検討を
自動車事故以外でも予期せぬトラブルは日常に潜んでいるもの。特に近年はスマホが普及しインターネットの利用者が増えていることで、ネット上のトラブルも増えています。
例えば、「掲示板に自分の個人情報が載せられてしまったから削除したい」、「誹謗中傷・名誉毀損と思われる書き込みを削除したい」といった場合、弁護士に相談することで対処が可能なケースがあります。
反対にインターネットの利用では自分が「加害者」になってしまうリスクもあります。気軽に発信したつもりが、誹謗中傷や名誉毀損で訴えられ、高額な賠償金支払いが必要になるケースも起こりえます。
このような日常生活に潜む自動車事故以外のトラブルにも備えられるのが「弁護士保険」です。具体的な補償内容を以下で紹介します。
AIほけんの「弁護士保険」2つの補償
以下ではドコモが提供する「AIほけん」の弁護士保険を例に、2つの補償内容を紹介します。
1.弁護士費用等補償
「AIほけん」の弁護士費用等補償なら、以下のようなトラブル解決のために弁護士を活用した場合、その費用を保険金で補償してくれます。自動車事故に限定された弁護士費用特約よりも、より広い範囲で弁護士に頼れるようになります。
・他人からケガを負わされたり物を壊されたりした場合
・名誉、プライバシー、肖像権の侵害により精神的苦痛を被った場合
・痴漢、ストーカー行為、いじめ、いやがらせ等により精神的苦痛を被った場合
2.個人賠償責任補償
前述したように自身が「加害者」になるリスクもあります。
日常生活で相手にケガを負わせてしまった、相手の物を壊してしまった、あるいは自身のインターネットへの投稿内容が意図せず誹謗中傷・名誉毀損となってしまい相手から訴えられた等、高額な賠償金支払いが必要になるケースも起こりえます。
「個人賠償責任補償」により、ドライブ中に限らず、電車での通勤中、勤務中や、自宅でのSNSの使用中など日常生活におけるさまざまなシーンで万が一自身が当事者になってしまった場合に備えられます。
※ ご契約者または保険の対象となる方等の故意によって生じた損害の場合、保険金が支払われないケースがございます。
AIほけんの弁護士保険なら月額430円
保険料は「弁護士費用等補償」と「個人賠償責任補償(相手をケガさせた場合などの賠償金を補償)」とのセットで月額430円です。
「AIほけん」の弁護士保険に1契約するだけで、契約者本人はもちろんその配偶者や同居の親族、また別居の子供(未婚)も補償範囲に含まれます。
ドコモのAIほけんの「弁護士保険」に加入して、自動車事故に限らず予期せぬさまざまなトラブルに備えてみてはいかがでしょう?
※ 本記事は2021年9月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。