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がんで入院したときにかかる費用はどれくらい?治療費以外の費用も解説

医者の診断を受ける人の写真

「もし、がんにかかったらいくら必要なのだろう?」良く分からないからこそ不安になりますよね。万が一に備え、がんで入院した場合に掛かる治療費とそれ以外の費用について把握しましょう。

がんになったときの治療

がんの代表的な治療法には、「手術(外科治療)」「薬物療法」「放射線治療」の3つが存在します。

【がんの3大治療法】

  • 手術(外科療法)
  • 抗がん剤治療(薬物療法、化学療法)
  • 放射線治療

上記はそれぞれ単独に行われることもありますが、同時に行われるケースもあります(集学的治療)。

手術

がん治療における手術は、がんやがんのある臓器の切除を目指します。切除で臓器の正常な機能が失われてしまう場合、機能を回復させるための手術(再建手術)も行います。

国立がんセンターによると、がんが最初にできた所(原発巣)にとどまっている場合、手術でがんをすべて取り除くことによって、治る可能性は高いようです。がん治療において、手術は重要な治療方法といえるでしょう。

放射線治療

放射線治療は、人工的につくり出した放射線を患部にあて、がん細胞を死に至らしめる治療法です。また、骨転移などによる痛みなどの症状の緩和を目指すものもあります。

手術と比較して麻酔が不要で、かつ体への負担の少ない治療法として、多くのがん治療に用いられています。

抗がん剤治療(薬物療法、化学療法)

抗がん剤治療(薬物療法)は、がんの治癒を目指す目的のほか、がんの進行を抑える、またがんによる症状を緩和するために行われる治療法です。「化学療法」とも呼ばれることがあります。

抗がん剤治療は入院で行われるほか、通院で行われることもあります。副作用を和らげる技術の発展により、通院で行われるケースが多くなってきているようです。

治療期間は、がんの種類などによりさまざまです。治療が長引くケースも想定しておいた方がよいでしょう。

先進医療

上述した治療法の中には「先進医療」に指定されているものもあります。先進医療は、厚生労働省が認める高度な医療技術を指し、その名の通り、先進的な医療技術といえるでしょう。

注意したいのが、先進医療は公的医療保険の対象外で、その費用の全額を負担しなければならないという点です。

公的医療保険の対象の治療法(保険診療)の場合、私たちは概ね総医療費の3割負担で治療を受けられます。3割負担でも負担額が大きい場合は、「高額療養費制度」で、一定以上の負担を免除してくれます。

先進医療は公的医療保険の対象外です。先進医療に関する費用の全額を患者が自己負担する必要があり、高額療養費制度による一定以上の免除もありません。

先進医療は、がん治療における重要な選択肢ですが、高額な負担が発生する可能性には留意しましょう。

がんで入院したときにかかる費用はいくら?

がんで入院すると、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。大まかな費用を確認しましょう。

がんになったらかかる治療費

がんの治療には「検査費用」や「手術費」など、さまざまな費用が発生します。がん治療で発生する費用の一例として以下にまとめました。

【がんの治療費(一例)】
費用の例 参考
検査費用 2万9,920円
(税込)
東京都がん検診センター
「日帰りがんドック」
一般コースA(胃バリウム)
手術費 約60万円
(3割負担)
聖路加国際病院
「がん手術の治療費目安」
肺がん(胸腔鏡下肺葉切除術)
抗がん剤治療 約16万円
(3割負担)
国立がんセンター
「パクリタキセル週1回投与療法の手引き」
パクリタキセル18回分(患者体表面積1.5㎡)
先進医療 約144.8万円
(総医療費)
厚生労働省
「令和5年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」重粒子線治療(1件あたりの費用)

上記はあくまで一例です。がん治療で発生する費用は、がんの状態や治療法によりさまざまで、一概にこれだけの費用がかかるとはいえません。

ここでは「がんになるとお金がかかる」とだけ押さえておきましょう。

がんになったときの平均入院日数

がんで入院となると、入院日数がどれくらいかかるか心配ですよね。生命保険文化センターによると、がんによる入院日数の平均は以下のようになりました。

平均入院日数
胃がん 22.3日
結腸及び直腸のがん 16.4日
肝及び肝内胆管のがん 20.8日
気管、気管支及び肺のがん 21.1日

もちろん、上記より長い入院が必要なケースもあります。がんに備える場合、入院が長期化する可能性も想定しましょう。

治療以外にかかる入院費用

入院となると、上述の治療費以外の費用も発生する点に気を付けないといけません。

例えば、入院の際に個室などを希望すると「差額ベッド代」がかかります。厚生労働省によると、「1人部屋」の場合、1日あたり平均8,322円の費用がかかるようです。公的医療保険の対象外で、全額自己負担する必要があります。

また、「入院時食事療養費」制度により、入院中の食費の一部に関しても自己負担が発生します。世帯の所得により負担額は異なりますが、「一般」の世帯では1食につき460円の負担が発生します。

そのほか、家族のお見舞いの費用や入院中の衣服費など、さまざまな費用が発生します。治療費の備えだけでは不十分となる可能性があるため、余裕を持って準備をしておくことが大切です。

入院による収入減も(逸失収入)

がんの入院では費用だけに注目していてはいけません。入院中は仕事を休む必要があるため、収入が減少してしまう可能性に注意が必要です。

がんで仕事を休む場合、公的医療保険から「傷病手当金」が支給されるケースもあります。ただし、支給額は給与の概ね3分の2程です。また、休業中に会社から給与や手当が支給されていると、その分支給額が減るか、あるいは支給がありません。

がんの入院では収入が減る可能性も想定し、十分に備えましょう。

実例 がんになったときにはこれくらい費用がかかる

がんになると、実際にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。箕面市立病院のパンフレットに掲載されている「もしあなたががんになったら」から、実例を確認してみましょう。

Aさん 大腸がん手術で14日入院

【Aさんの医療費】

  • 総医療費:150万円(高額療養費制度により自己負担額9万2,430円)
  • 食費:7,820円(460円×17食)
  • 窓口負担の合計:10万250円

Aさんは大腸がんの手術で入院し、150万円の総医療費が発生しました。ただし、高額療養費制度により少ない自己負担額で済み、約10万円の負担となりました。

Bさん 胃がんの抗がん剤治療で通院+訪問診療+訪問看護

【Bさんの医療費】

  • 通院治療費:5万7,600円(自己負担限度額)
  • 薬局での処方代:5,000円
  • 訪問診療(週1回):3万4,000円
  • 訪問看護(週2回):2万3,000円
  • 窓口負担の合計11万9,600円(還付後の自己負担額:5万7,600円)

Bさんは胃がんの治療のため、通院で抗がん剤治療を受けました。その後、訪問診療と訪問看護のサービスを受けています。

Bさんはいったん窓口で11万9,600円の負担が発生しましたが、高額療養費制度で5万7,600円が自己負担限度額なので、差額の6万2,000円は後日還付されます。

上記は、いずれも高額療養費制度が適用されている例です。「差額ベッド代」や「先進医療」など、公的医療保険の対象外の治療を受けると負担額は増える点には注意しましょう。

参考に、Aさんを例に確認してみましょう。Aさんに差額ベッド代や先進医療費が発生すると、以下のようになります。

Aさんに「差額ベッド代」と「先進医療費」がかかる場合

【Aさんの医療費】

  • 総医療費:150万円(先進医療)
  • 食費:7,820円(460円×17食)
  • 差額ベッド代:11万5,094円(8,221円×14日)
  • 窓口負担の合計:162万72円

Aさんに1日当たり8,221円の差額ベッド代がかかる場合、Aさんは14日間入院しているので、約11.5万円の負担が上乗せされます。

またAさんの治療がすべて先進医療で行われた場合、医療費の全額を自己負担しないといけないため、総医療費150万円のすべてをAさんが支払わないといけません。

がんへの備えを充実させるなら「がん保険」

ここまで見てきたように、がんの治療には医療費と医療費以外にも多くの費用が必要になります。公的医療保険の制度ではカバーできない治療があることも解説しました。がんへの備えをより充実させるなら「がん保険」への加入を検討するのが良いでしょう。

がん保険は、がんで入院や通院、また手術など所定の治療を受けた際に保険金を受け取れる点が大きな特徴です。また、がんと診断された際に一時金としてまとまったお金を受け取れる保険もあります。

がん保険に加入することで、公的医療保険にはない手厚い補償を受けられ、がんへの備えをより充実させることができます。

  • ※ 本記事は2024年8月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。
  • ※ 本記事は2021年7月29日にNTTドコモより掲載された記事を一部改変したものが含まれています。 掲載にあたっては、NTTドコモの転載条件を遵守しています。
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