先進医療特約を付けて治療の幅を広げよう 先進医療についても詳しく解説
「効果は期待できるけど、費用が高くて治療が受けられない......」
こんなシーンに備えられる保険が「先進医療特約」です。高額な自己負担の可能性がある先進医療を受けたときに保険金を受け取れます。
医療技術の発展で治療の幅は年々広がっています。金銭面が理由で治療を受けられない事態を避けるためにも、「先進医療」と「先進医療特約」の基礎知識を身につけ、万が一の状況に備えましょう。
先進医療とは?
まずは先進医療の概要について解説します。
厚労省が認めた先進性の高い医療技術のこと
先進医療とは特定の大学病院などで研究・開発された新しい治療方法のうち、厚生労働省に認められたものです。
将来、公的医療保険の対象に含めるか評価段階の治療・手術が指定され、2024年7月1日時点で78種類が先進医療として認められています。例えば以下のような医療技術が先進医療に指定されています。
陽子線治療 | 放射線の一種である粒子線(陽子線)を病巣に照射することにより悪性腫瘍を治療する。 |
---|---|
重粒子線治療 | 重粒子線(炭素イオン線)を体外から病巣に対して照射する治療法。 |
家族性アルツハイマー病の遺伝子診断 | 家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の変異に対する診断を行う。正確な診断により、個々の患者ごとに将来に向けた療養方針やリハビリ計画を患者やその家族に示すことができる。 |
先進医療は、従来にはない画期的な効果が期待できる医療技術といえるでしょう。
適宜見直しが入り、認可される治療が変わる
先進医療は適宜見直され時代とともに変化していきます。例えば「ダ・ヴィンチ」に代表される手術支援ロボットを用いた治療は2012年、「前立腺がん」に対する一定の治療が公的医療保険の対象となりました。
Point
先進医療は評価の結果、公的医療保険の対象に含まれることもあれば対象から外れることもあります。
実施している施設に細かい基準が定められている
先進医療を受けられる医療機関は細かく定められています。例えば上述した「重粒子線治療」の場合、「国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 QST病院(千葉県)」など全7施設しかありません(2024年7月1日時点)。
Point
どの病院でも受けられるわけではない点に注意しましょう。
先進医療にかかる技術料に健康保険は使用できない
先進医療について最も知っておきたいポイントは「公的医療保険の対象外」という点です。このため先進医療を受ける場合、大きな支出となる可能性に注意しなければなりません。
通常の公的医療保険対象の治療の場合、私たちは原則3割の負担で受けられます。さらに3割でも負担が大きい場合、一定以上が免除される「高額療養費制度」も利用可能です。
しかし先進医療の場合、その技術料については全額自己負担しなければなりません。先進医療には高額なものもあり、その全額の自己負担となると負担が重くのしかかる場合もあります。
先進医療特約とは
先進医療特約とはどのような保障なのでしょうか。
医療保険や生命保険の特約のひとつ
先進医療特約は「主契約」にプラスして加入する「特約」のひとつです。両者の違いを以下にまとめました。
【主契約と特約の違い】
- 主契約:その保険のベースとなる部分。主契約だけで契約可能。
- 特約:主契約に任意に追加できるオプション部分。特約だけの加入はできない。
主契約はその保険の基本的な保障で、加入するなら必ず加入します。一方特約は主契約に追加できる保障で、加入は任意ですが特約だけに加入することはできません。
特約を上手に活用すれば個別のニーズに沿った保障にカスタマイズできます。
総合先進医療特約
病気やケガで先進医療を受けた場合に補償を受けられる
三大疾病特約
がん診断時、急性心筋梗塞や脳卒中で入院した際に一時金を受け取れる
女性特約
女性が罹患しやすい病気や妊娠糖尿病など所定の病気で入院した際に一時金を受け取れる
先進医療を受けるときの保障
先進医療特約は先進医療を受けた際の費用の保障を受けられる特約です。先進医療の技術料は全額自己負担で高額に上ることもあります。保険金が十分大きく設定されているものを選びましょう。
先進医療特約の保障範囲
先進医療特約は、先進医療として厚生労働省から認可を受けた治療が保障の対象です。先進医療として指定されており、指定の医療機関で受けた治療が先進医療として扱われます。
Point
同様の治療を指定外の医療機関で受けても先進医療とは認められないため注意しましょう。
先進医療特約は必要か?
特約はあくまで任意に追加できる保障のため、加入が義務付けられているわけではありません。加入するかどうかは各自で判断する必要があります。先進医療の実例を踏まえ解説します。
先進医療を受けるとどれくらい費用がかかる?実例で紹介
先進医療にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。中央社会保険医療協議会によると、「陽子線治療」や「重粒子線治療」のように200万円を超える治療もありますが、「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」のように50万円以下に収まるケースもあります。
1件あたりの技術料 | |
---|---|
陽子線治療 | 2,692,988円 |
重粒子線治療 | 3,162,781円 |
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 301,951円 |
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 | 32,558円 |
著者コメント
先進医療といっても、必ずしも高額な費用が発生するわけではありません。不必要に不安になる必要はありませんが、「数百万円の費用がかかるケースも起こり得る」ということは覚えておいたほうがいいでしょう。
先進医療を受けている人はどれ位いるのか?
前述の中央社会保険医療協議会の調査によると、1年間で約3.9万人の方が先進医療を受けていることがわかります。
【先進医療の実績(2021年7月1日~2022年6月30日)】
先進医療 技術数 |
実施医療 機関数 |
全患者数 | 総金額 |
83種類 | 428施設 | 26,556人 | 151.4億円 |
厚生労働省の「患者調査(2020年)」によると、ある1日の入院患者数の推計は約131万人です。先進医療は1年で約2.6万人のため、全体と比べると割合は決して多くありません。
いざという時のために加入
実態を踏まえると、「先進医療は実際に受ける人は少ないものの、いざ受ける場合は大きな負担となる」可能性があります。先進医療特約への加入は必須ではありませんが、いざというときに頼りになる存在です。
著者コメント
保険は「発生頻度は少ないものの、万が一発生した場合に負担が大きいリスク」に備えるのが本来の目的です。先進医療特約を付帯することで「もしも」の事態に備えることができるでしょう。
先進医療特約の注意点
先進医療特約には注意したいポイントもあります。後で後悔しないよう、ここで確認しておきましょう。
Point
- 特約の保障期間
- ほかの保険に特約を付けていないかを確認
- 保険適用外の治療=先進医療 ではない
- 対象となる医療技術が変わること
特約の保障期間
まずは保障期間に注意しましょう。先進医療特約だけでなく、主契約の保障期間にも注意が必要です。主契約の保障期間が終了すれば先進医療特約の保障もなくなるためです。
保障期間は主に「終身型」と「定期型」があります。終身型は一生涯保障されるタイプで、老後も含め長い期間を保障したい方に向きます。
定期型は一定期間だけ保障されるタイプで、ある特定の時期だけ保障したい方に向くでしょう。定期型でも自動更新されるタイプなら長く保障を受けられるものもあります。
それぞれのニーズに合わせて保障期間を選びましょう。
ほかの保険に特約を付けていないかを確認
すでに契約している保険に先進医療特約が付帯していないか確認しましょう。もし付帯しているなら保障内容を確認し、重複しているなら新しく加入する必要はありません。
保険適用外の治療=先進医療 ではない
先進医療特約の保障範囲は先進医療だけです。公的医療保険が適用されない治療はいくつかありますが、そのすべてが先進医療に該当するわけではありません。
例えば「自由診療」や「患者申出療養」なども公的医療保険の対象外ですが、これらは先進医療ではありませんので注意しましょう。
対象となる医療技術が変わること
先進医療はあくまで評価段階の医療技術です。評価の結果、先進医療の対象から外れることもあります。保険加入後に変動する可能性については注意しましょう。
- ※ 本記事は2024年8月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。
- ※ 本記事は2022年5月16日にNTTドコモより掲載された記事を一部改変したものが含まれています。 掲載にあたっては、NTTドコモの転載条件を遵守しています。